
2026年9月18日
(年間カレンダー付き)
結論:教育機関への営業は「予算サイクル」で8割決まる
学校・教育委員会を相手にするBtoB営業は、一般企業向け営業とは前提が異なります。
最大の違いは、教育機関は「年度内に決まった予算の範囲内でしか意思決定できない」ことです。
予算に載っていない商材は、どんなに良い提案でも最短で1年間待ちになります。
逆に言えば、予算の編成時期に合わせて提案を入れられれば、競合より1歩先で決裁まで進められます。
公立校(小・中 ・高)の予算は自治体予算。2〜3月の議会で議決され、4月から執行される
私立校の予算は学校法人会計。3月末の理事会・評議員会で承認される
国庫補助(ICT整備など)は文科省の公募スケジュール(例年4〜5月公募開始)に連動する
つまり「いつ提案するか」を間違えると、来年度チャンスを逃す構造です。 本記事では、教育機関の予算サイクルを月別に整理し、「何月に何をすべきか」をステップで解説します。
1. なぜ「予算サイクル」が学校営業の生命線なのか
1-1. 教育機関は会計年度(4月〜3月)でしか動けない
国の会計年度に合わせ、学校も自治体も4月〜3月が1つの会計単位です。
年度内に予算化されなかった事業は、原則として翌年度まで着手できません(年度途中の執行は「補正予算」が必要)。
このため、「今月アポを取って今月提案しても、来年度予算に載らなければ販売 は1年後」というタイムラグが常に発生します。
1-2. 予算を持っている人と、使っている人は別
学校営業で初心者がやりがちな失敗は、利用者(教員・現場)だけに話を通して終わることです。
予算を握っているのは現場ではなく:
公立小・中:市町村の教育委員会事務局・学校事務(教頭・事務職員)
公立高:都道府県教育委員会
私立校:学校法人の事務局(総務・経理)と理事会
現場のニーズを聞くのは営業の入口に過ぎず、予算計上という「出口」を握る人まで提案を届けることが必 要です。
1-3. 時期を逃すと「予算がない」が聞こえる
「興味はあるが予算がない」という返答の大半は、相手の本音ではなく、予算編成の時期を逃した結果です。編成時期に間に合わせる提案・資料・見積もりがあれば、商談は「来年度事業」として前に進みます。
2. 教育機関の3タイプと予算の持ち主
予算の出所 | 最終決定者(実務) | 決まる時期 | 営業上の特徴 | |
公立 小・中学校 | 市町村の自治体予算 | 教育委員会事務局・首長(議会議決) | 2〜3月(議会) | 教材・備品は学校ごとの要求、ICT系は教委主導。補助金活用が多い |
公立 高等学校・特別支援学校 | 都道府県の自治体予算 | 都道府県教育委員会 | 2〜3月(議会) | 県域単位の案件。入札・指名競争のケースあり |
私立 小中高・大学 | 学校法人会計 | 理事長・理事会(評議員会) | 3月末(理事会) | 決裁が法人内で完結しスピードが速い。収支と人員計画次第 |
国立大学・公立大学法人 | 国・自治体の法人運営費交付金 | 学内の予算委員会・役員会 | 年度末〜3月 | 学内の事業計画とセットで動く。研究・DX系も |
専修学校・各種学校 | 法人会計または個人事業 | 理事長・校長 | 3月末前後 | 学校法人基準外なので自由度が高く決裁が速い |
ポイント: 同じ「学校」でも、予算の決定者・時期・プロセスがこれだけ違います。最初にターゲットを絞ってからスケジュールを引くのがセオリーです。
3. 公立校の予算はどう決まる?(自治体予算編成の年間スケジュール)
自治体の予算編成は、おおむね以下の流れで進みます(※自治体・年度により前後します。以下は一般的な例です)。
時期 | 予算編成上のイベント | 学校現場の動き |
4月 | 新年度開始、予算執行開始 | 人事異動、新任担当者の着任 |
5〜8月 | 事業部門(教育委員会・学校)が次年度事業を検討、情報収集 | 新年度の取組の成果が見え始める。決算・事業評価の準備 |
6〜9月 | 決算審査・事務事業評価 | 前年度実績の棚卸し。課題が顕在化する時期 |
9〜10月 | 予算編成方針の提示 → 予算要求(概算要求) | 各学校・教委が次年度の要求書をまとめる【最重要】 |
10〜12月 | 財政部門による査定 | 査定で事業の取捨選択。予算化の可否が実質決まる |
12〜1月 | 査定の結果を踏まえた復活要求、首長の最終決定 | 次年度の方向性が固まる |
2〜3月 | 予算案を議会へ提出 → 3月議会で審議・議決 → 予算成立 | 成立を受けて4月からの執行準備 |
根拠となる実例: 東京都中央区は予算編成スケジュールを「8月上旬〜中旬:予算編成方針の策定、9月下旬〜10月中旬:予算見積」と公表しています(東京都中央区「予算編成の流れ」)。新潟県上越市も「10月:予算編成会議・予算要求、11月:査定」という年間スケジュールを公開しています(上越市「財政運営スケジュール」)。業界各社の解説でも「9〜11月:予算要求、10〜12月:査定、2〜3月:議決」で一致しています。
【重要】予算の「枠」は議決より3〜4か月前に実質固まる
議会で予算が成立するのは2〜3月ですが、各事業が予算要求に載るかどうかは9〜10月の時点でほぼ決まります。つまり:
「4月の新年度から導入したい」商材は、 前年の7〜9月までに提案し、9〜10月の予算要求に載せてもらう。
これが学校営業における最重要のタイミングです。
4. 営業アクション月別カレンダー【何月に何をするか】
公立・私立を問わず使える「何月に動くべきか」をまとめます。赤字がゴールデンタイムです。
月 | 営業アクション | 補足 |
4〜5月 | 人事異動の把握・挨拶まわり。新任の担当者・教育長・校長のリスト化 | 前年度の商談相手が異動している可能性が高い。顔つなぎの最重要月 |
5〜6月 | 現場ヒアリング。課題と要望の具体化、来年度事業の「種」づくり | 聞くだけで売らない。予算要求に使える「根拠資料」を一緒に作る布石 |
7〜9月 | 【最重要】来年度予算に載せる提案・見積り・エビデンス提供 | 予算要求書の作成を意識した資料が刺さる。この3か月で成果の8割が決まる |
9〜10月 | 予算要求の進捗確認。「要求に載せたか?漏れていないか」をサポート | 要求漏れに気づいたら補正予算(12月・3月)等の選択肢を提示 |
10〜12月 | 査定対策の資料提供 | 財政担当を納得させる費用対効果・導入実績・試算を追加で出す |
12〜1月 | 予算確定後の導入スケジュール調整(テスト、研修、設置計画) | 「載った!」後の動き方が商談化を左右する |
2〜3月 | 新年度導入の準備。年度内執行の駆け込みニーズにも対応 | 消耗品・備品は年度末に消化予算が発生しやすい |
4月 | 導入・検証、次年度の提案サイクル開始 | 導入事例を作って次の提案の材料に |
4-1. アプローチを避けるべき時期
教育現場は行事と繁忙期が年度で決まっています。以下の時期の直接アプローチ(特に電話)は成功率が下がります。
3月中旬〜下旬:卒業式・年度末処理・人事異動の真っ最中
7月下旬〜8月下旬:夏休み(ただし長期計画の検討・内製作業は少し余裕が出るため、文書ベースの提案は有効)
定期テスト前後(6月・11月ごろ)と文化祭などの学校行事前
ゴールデンウィーク中・年末年始
「会いにくい時期」を避け、予算を持つ事務局・教頭のスキマ時間を狙うのが現実的です。
5. 私立学校は「理事会決議」に合わせて動く
私立学校は、予算編成の構造が公立と異なります。
私立学校法では、学校法人の予算・事業計画は、毎会計年度開始前に理事長が編成し、理事会で出席理事の3分の2以上の議決を得ることが定められています(私立学校法(第33条)を参照)。
実務では、1〜2月が予算原案の作成・折衝、2月末〜3月20日ごろまでに集計し、3月末の理事会・評議員会で予算決議を行うのが標準的な流れです(学校法人会計の実務解説・税理士法人の解説より)。
つまり私立校の予算の「枠」は前年12月〜1月までに固まります。
提案するなら:
前年9〜10月までに最初のアプローチ
11〜12月に見積り・事業計画案を提出(予算原案に組み込んでもらう)
1月までに理事長・事務局長への最終プレゼン
公立より決裁が速い一方、「収支バランスと理事会の了承」というハードルがあります。塾・習い事など兼業事業を持つ学校は「既存事業を圧迫しない/相乗効果がある」ことを示すと通りやすいです。
6. 国庫補助・文科省公募は「申請スケジュール」に合わせる
ICT整備・教育DX・部活動支援など、補助金を前提にした商材は、自治体予算とは別のスケジュールで動きます。
文科省の補助金・公募事業は、例年3月の予算成立後に公募を開始し、4〜5月に申請受付が始まるケースが多い
例:高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)は文科省が毎年公募。学校側は募集要項の発表(1〜3月)〜申請(4〜5月)の流れで動く
学校・塾などへのICT関連支援では「補助金を活用すると実質負担は〇割」という試算資料を公募開始前(12〜3月)に提供しておくと、学校側の意思決定が早まる
ポイント: 補助事業は「年度仕切り」です。申請→審査→採択→導入までのリードタイムを逆算し、情報提供は本申請の2〜3か月前を目安に。
7. 予算を握るキーマンとアプローチの順番
商材タイプ | 現場(利用者) | 予算の実務担当 | 最終決裁者 |
教科書・補助教材 | 教科担当教員 | 教頭・学校事務 | 教育委員会(公立)/事務局(私立) |
学習塾・教育サービス | 教員 | 教頭・事務局 | 学校長・理事長 |
ICT・システム・端末 | 情報担当教員 | 教委事務局(指導主事・情報担当) | 教育長・教委(公立)/理事長(私立) |
備品・設備・施設 | 現場 | 事務局・教頭 | 教育委員会・議会(公立)/理事会(私立) |
有効なアプローチの順番:
現場の課題を聞く(ヒアリングでニーズを具体化)
学校長・教頭の了承を得る(現場だけだと「学校全体の話」にならない)
教育委員会経由で横展開する(「〇〇学校で関心を持たれています」の事実が効く)
予算要求の時期に「予算要求に使える資料」を届ける(見積り・効果試算・事例)
教育委員会へのアポイントは、公式には問い合わせ窓口や担当課(学校教育課・指導課・情報教育担当)への連絡が基本です。
実務的には既存取引先の学校からの紹介が最も確実で、次点が「特定の担当課を名指しした架電・文書」です(業界の実務解説でも同様の指摘が多数あり ます)。
8. よくある質問(FAQ)
Q1. 教育機関への営業はいつから動くべきですか?
A. 来年度4月からの導入を狙うなら、前年5〜6月にヒアリング、7〜9月に提案を行います。9〜10月の予算要求に載らなければ導入は最短で翌年度になります。
Q2. 学校の予算はいつ決まりますか?
A. 公立校は2〜3月の議会で議決されて4月に執行されます。私立校は3月末の理事会・評議員会で決議されます。ただし「どの事業に予算をつけるか」の枠決めは、その3〜4か月前(前年9〜12月)に実質固まります。
Q3. 教育委員会にアポイントを取る方法はありますか?
A. 代表電話・問い合わせフォームから担当課(学校教育課・指導課など)へ連絡するのが公式ルートです。実務では「既存取引の学校からの紹介」が最も確実です。
Q4. 年度途中でも購入・導入はできますか?
A. 9月・12月・3月の補正予算で対応できることがありますが、新規事業を後出しで載せるのは難しく、基本は来年度の予算要求前提で動きます。
Q5. 公立と私立、どちらに売り込みやすいですか?
A. 決裁のスピードは私立(法人内で完結、3月理事会で確定)が速い傾向です。一方、規模・安定性・予算額は公立に分があります。商材が全国展開か個別最適かで選ぶのが現実的です。
Q6. 教育委員会・学校の電話がつながりやすい時間帯はありますか?
A. 業界では「午前11時〜12時、15時以降は比較的つながりやすい」「火曜・水曜の午後は余裕が出やすい」といった現場感覚の報告がありますが、あくまで目安です。教員が授業中の時間帯を避けるのが基本です。
9. まとめ:学校営業は「何月に動くか」で決まる
教育機関は4月〜3月の会計年度でしか動けず、予算に載らなければ導入は1年後
最重要は「前年7〜9月の提案」。9〜10月の予算要求に載せてもらうのが商談化の条件
予算の決定者は現場ではなく事務局・教育委員会・理事会。利用者と予算担当者の両方に届ける
公立(2〜3月議会)、私立(3月理事会)、補助金(4〜5月公募)でスケジュールとキーマンが違う
避ける時期(3月中旬〜下旬・テスト前後・行事前)を外し、余裕のある時期にこそ接触する
このカレンダーは毎年度更新して鮮度を保ってください。年度名を入れた「【令和X年度版】」として更新し続けることで、検索エンジンとAI検索の両方に「最新で信頼できるページ」として評価されやすくなります。
学校マーケット営業でお困りなら、ENERALLへご相談を
「教育委員会有き当たりばったりでなかなかアポが取れない」 「学校向け商材はあるが、いつ・誰に・どうアプローチすればいいかわからない」
株式会社ENERALLの学校マーケット営業代行「SSS」は、教育委員会・学校法人へのアプローチ設計からアポ獲得・商談化までを一括支援します。
出典・参考資料(記事内で参照)
東京都中央区「予算編成の流れ」:https://www.city.chuo.lg.jp/a0002/kusei/zaisei/yosan/zaisei_20220323.html
上越市「財政運営スケジュール」:https://www.city.joetsu.niigata.jp/soshiki/zaisei/zaisei-schedule.html
自治体予算編成プロセスの解説(自治体向け営業支援メディ ア):https://www.b2lg.co.jp/jichitai/local_government_budget/
自治体営業の年間スケジュール解説:https://lobbyai.co.jp/blog/jichitai-schedule
自治体の予算編成スケジュールと営業タイミング:https://labid.jp/article/exl3enjp 、 https://z-suguru.co.jp/column/lg-budget/ 、 https://lians-sales.com/blog/自治体の予算編成スケジュール〜何月に何を提案すべきか/
私立学校法(第33条:予算・事業計画の理事会議決)、学校法人会計の予算編成実務:https://sun-tax.or.jp/blog-news/school-corporation/37921 、 https://leyser.jp/blogs/chikara20170830/
文部科学省「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/shinkou/shinko/mext_02975.html
教育機関営業のアプローチ解説:https://kaitak-sales.com/times/post-2233/ 、 https://value-fax.com/blog/archives/1143 、 https://tanomate.net/