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営業代行市場に関する実証的考察

書類

2025年10月14日

~市場規模・成長要因・国際比較~

要旨




本稿は「営業代行(outsourced sales)」を、


①営業機能の外部委託サービス、

②営業・マーケティングBPO(Business Process Outsourcing)の下位領域、

③リード獲得(lead generation)やインサイドセールス支援を含む周辺市場の集合として定義し、最新の公開統計・市場レポートをもとに規模と成長性を検証する。


結果、グローバルでは“狭義の営業代行”は数十億ドル規模、ただし“営業・マーケBPO”まで含むと数百億ドル規模に拡大しており、2020年代後半にかけて年率高個成長が持続する可能性が高い。


日本では公式な「営業代行」単独統計が乏しいため、BPO全体や周辺領域の時系列から代替推計を行う。




1. グローバル市場規模と予測



狭義の「営業代行サービス(outsourced sales services)」の世界市場は、2024年に約27.1億米ドル、2034年に約42.1億米ドルへ拡大すると推計され、2025–2034年CAGRは約4.5%である。zionmarketresearch.com 


一方、営業・マーケティングBPO全体(インサイドセールス運用、フィールドセールス支援、セールス・オペレーション受託、デマンドジェネレーション等を包含)は、2023年時点で約307億米ドル、2030年に574.6億米ドルへと見込まれ、CAGRは9.4%と高い。Grand View Research


周辺の「リード獲得(Lead Generation)」も急拡大が続き、2025年発表の推計では2035年に3,210億米ドルへ達する長期見通しが示される(方法論差が大きいが、SaaSやメディア費を含む広義定義)。uk.finance.yahoo.com 


さらに「インサイドセールス向けソフトウェア」単体でも2024年に約71.8億米ドル、2032年に157.3億米ドルとされ、営業代行の生産関数を押し上げる技術基盤の市場拡大が確認できる。MAXIMIZE MARKET RESEARCH


小括:狭義の“人手中心の営業代行”は数十億ドルだが、周辺のBPO/ソフトウェア/リード獲得を含む“運用エコシステム”は桁違いに大きく、成長率も二桁に近い。



2. 日本市場(代替指標による推計)




「営業代行」に限る統一統計は少ないため、包含関係の大きいBPO市場からトレンドを把握する。矢野経済研究所によれば、2024年度の国内BPO市場は事業者売上高ベースで5兆0914億円(前年比+4.2%)の見込みで、IT系3兆1,240億円・非IT系1兆9,674億円とともに拡大。


生成AIの実装加速や官公庁需要の取り込みが成長要因と指摘される。市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 


過去データでも2022年度4兆7,020億円(+3.0%)と伸長基調が確認される。オフィスのミカタ


コンサルティング各社の区分では、日本のBPO市場は2030年に約2.49兆円(249億米ドル)規模との国際推計もあり、年率9%前後での拡大が見込まれる。kbvresearch.com 


この全体のなかで、営業・マーケ領域の外部委託比率が上昇していること(後述の技術・人材要因)から、営業代行の売上もBPO全体成長と同じかそれ以上のテンポで伸びる合理性がある。


なお、国内解説記事では「営業代行+営業BPO」相当の市場感として2021年約8,800億円→2025年1兆円規模の推計が紹介されるが、定義幅が広く一次資料不明のため、あくまで参考値としたい。note(ノート)




3. 成長ドライバー(需要側・供給側)



需要側:①コスト最適化・固定費変動費化ニーズ、②新規事業や海外展開に伴う立上げ速度の要求、③需要変動に応じた人員柔軟化、④成果連動型契約の浸透。グローバルBPO全体の拡大(2024年推計3.8兆米ドル→2030年7.11兆米ドル、2025–2030年CAGR 11.3%)は、営業機能にも同様の圧力を与える。Grand View Research


供給側:①SaaS/AIの普及で少人数・高生産性運用が可能、②ABM・MAとの統合で“パイプライン責任”を担う事業者が増加、③品質保証/アフターセールス人材需要の増勢(顧客接点の外部委託深化)。BRS - Bilingual Recruitment Solutions 


インサイドセールスSaaSの拡大は営業代行の稼働効率を高め、価格弾力性を改善する。MAXIMIZE MARKET RESEARCH




4. 海外動向とオフショアリング




オフショア拠点の進化は顕著で、インドではグローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)市場がFY2024の646億米ドルから2030年に990–1,050億米ドルへ拡大見込み。


人材プールの厚みを背景に、販売・オペレーション・R&Dまで多機能化が進む。Reuters 


また、BPO輸出の拡大はITサービスを上回るペースと報告され、世界BPO市場は2029年に2,680億米ドルへ到達見込みとする調査もある。The Times of India


一方で先進国のコンサル市場は景気感応度が高く、ある大手ではコンサル収益が減速する局面でもアウトソーシング部門は増収を維持した例がある。景況変動期における外部委託需要の“粘着性”を示す補助線となる。Financial Times




5. セグメントの整合と数値の読み方



市場推計は定義の広さで大きく変わる。


Zionの「outsourced sales services」は“狭義の人材+運用サービス”に近く数十億ドル規模、zionmarketresearch.com 


Grand Viewの「Sales & Marketing BPO」は“プロセス受託+テクノロジー実装”を含み数百億ドル規模となる。Grand View Research 


Verified Marketなどは“B2B営業アウトソーシング”でも定義が広めで、100億ドル近い推計が提示されることがある。Verified Market Reports 


したがって投資判断では、(a)対象業務の範囲、(b)契約形態(成果連動/時間課金)、(c)テクノロジー同梱の有無を明示し、同一定義でのベンチマーク比較が不可欠である。




6. 今後の展望(日本企業への含意)



日本ではBPO市場の拡大(2024年度5.1兆円規模見込み)と同時に、生成AI・MA/SFAの普及が営業オペレーションを再設計しつつある。市場調査とマーケティングの矢野経済研究所+1 


「営業代行」を単独の外注ではなく、“レベニュー・オペレーション(RevOps)の一部を外部に置く”戦略と位置づけ、①SaaS基盤(リード→商談→受注→CS)とKPIを共有、②内製チームと外部ベンダーのパイプライン責任を一体設計、③人手と自動化の最適ミックスを設計することで、BPO成長の波に同調したパフォーマンス改善が期待できる。


海外展開では、インドやASEANのGCC/BPOクラスターを補完的に活用し、時差分業・多言語対応・24/7運用の確立が鍵となる。Reuters+1




結論




営業代行市場は、狭義では27–42億米ドル規模(2024→2034)の堅調拡大、広義の営業・マーケBPOでは2030年に574.6億米ドルと二桁成長が見込まれる。zionmarketresearch.com+1 


日本ではBPO全体が5兆円規模へ拡大し、AI・デジタルの実装が営業外部委託の範囲と付加価値を押し広げている。市場調査とマーケティングの矢野経済研究所 


オフショア/GCCの成熟も追い風で、コスト削減のみならず市場参入速度とスケーラビリティの観点から、営業代行はレベニュー成長の有力な実装手段となりうる。定義の差異に留意しつつ、対象業務の明確化とKPI合意を前提に、市場拡大のモメンタムを取り込む設計が推奨される。



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